個人事業主としてビジネスを始めると、事業を成長させながら日々の収支や経費、確定申告なども管理しなければなりません。しかし、事業が順調に拡大してくると税金の負担が増え、税務や経理作業も複雑になっていくため、税理士に依頼するタイミングがやってきます。今回は、税理士をつけるタイミングとそのメリットについて詳しく解説し、個人事業主がスムーズに経営を進められるポイントをご紹介します。

❶ 税理士をつけるべき3つのタイミング

個人事業主が税理士を必要とするタイミングは、一般的に以下のような状況が考えられます。

1. 確定申告や帳簿管理が煩雑に感じ始めたとき

個人事業主として最初のうちは、収入や経費が少なく、確定申告もシンプルに感じられるかもしれません。しかし、取引量が増えるとともに事業用の経費や売上が多岐にわたり、複雑な帳簿管理が必要となってきます。特に青色申告を行う場合、税務上の特典が得られる一方で、帳簿作成の手間が増えます。税理士のサポートを得ることで、正確な申告が行えるだけでなく、負担を大幅に減らすことが可能です。

2. 節税対策を本格的に行いたいと考えたとき

事業が順調に成長すると、税金の負担も大きくなり、資金の効率的な管理が求められるようになります。税理士は、各種控除や節税策について豊富な知識を持っており、個人事業主の状況に合わせたアドバイスが可能です。例えば、小規模企業共済やiDeCoの利用を検討したり、事業に専念するための自宅オフィスの一部を経費計上するなど、税理士ならではの視点で節税策を提案してくれます。こうした工夫により、年間の税負担が軽減されるだけでなく、事業成長に向けた資金を有効に活用できます。

3. 事業拡大や法人化を考えたとき

事業が拡大し売上が一定の規模に達すると、法人化を検討する段階が訪れることもあります。法人化には税負担の軽減や社会的信用の向上、融資の利便性といったメリットがあるため、事業にとって重要な決断です。しかし、法人化にはメリットとデメリットがあり、慎重な判断が求められます。税理士に相談することで、事業の将来性を見据えたアドバイスが得られ、法人化の適切なタイミングや具体的な手続きについても安心して進めることができます。

❷ 税理士をつけることで得られる3つのメリット

税理士をつけることによって得られるメリットには、以下のようなポイントがあります。

経理業務の効率化

個人事業主が一人で行う経理や帳簿管理は、非常に時間と労力を必要とします。税理士がいることで、日常的な経理業務がサポートされ、ビジネスに専念できる時間が増えるのです。さらに、クラウド会計ソフトの導入サポートを受けることで、経理作業がより効率化されます。

正確な税務申告とリスク管理

税理士は最新の税法に精通しているため、法令遵守のもとで正確な申告を行ってくれます。特に、税法は毎年改正が行われるため、自身で情報を追うのは難しいところですが、税理士がいることで安心です。また、申告のミスによる追徴課税などのリスクも回避できます。

節税対策

各種控除の適用や適切な経費計上を提案することで無駄な税金を減らし、利益を最大化することが可能です。

❸税理士を選ぶ際のポイント

税理士を選ぶ際には、次の点に留意すると良いでしょう。

その業種の経験が豊富な税理士を選ぶ

それぞれのビジネスに特有の論点があるため、業界知識のある税理士がサポートしてくれると安心です。

費用対効果を考える

税理士の費用は決して安くはありませんが、経理効率の向上や節税効果など、費用以上のメリットが得られるかどうかを考慮することが大切です。

コミュニケーションの取りやすさ

信頼できる税理士とは、常に連携が取れる関係が理想です。相性やコミュニケーションのしやすさも重視しましょう。

以上を踏まえて、少なくとも3社ほど面談を行いご自身に合った税理士を見つけましょう。